米国株 開示情報からテンバガー

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MQ Marqeta (マルケタ)Q3 2021 Earnings Call

Event

2021年10月10日にMQ Marqeta (マルケタ)のQ3決算発表とともに Earnings Callが行われた。会社の開示資料及びScriptからの状況まとめ。

 

大きなTAMと他社との提携により成長を見込む

  • Marquetaは全世界で$30兆ほどあるカード取引をマーケット対象としており、今はまだその表面を引っ搔いているにすぎない状況にある
  • 多くの新規顧客の獲得:Bill.comやFigureと、顧客の支払プロセスやデジタル口座についてMarqetaのソリューションを活用する提携を発表
  • Marquetaは新しいカテゴリーのカード利用の高まりに注目:Coinbase, Fold, ShakepayやBakktとの提携により顧客が暗号資産から実際通貨へと交換する際にMarqetaプラットフォームを用いたソリューションの活用等
  • Marquetaはプロダクトとパートナーのエコシステムを継続:M1 Financeのクレジットカードプログラム(会社の株式を保有しているとそのサービスが割引で受けられるサービス)のサポートを3Qからスタート、また、マスターカードの割賦支払のパートナーとして指名されBNPLプログラムをサポート
  • こららの顧客獲得は他の競合との比較の中で行われるが、Marqetaの11年にわたるビジネスの経験と実績によりModern Card IssuingのリーダーであるMarqetaは選択されている

TPVはYoY+60% BNPLやDigital Bankingが寄与

今回のQ3決算(会計期間)では、収益のKPIとなるMarqetaのプラットフォームを通じた取引量 TPV(Total Processing Volume)はYoYで+60%、QoQでは+4%となった。

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  • QoQではもの足りない伸びであるが、YoYでは確実に成長している。Q2 Earnings CallのTranscriptによると、この伸びは主にデジタルバンキング(Square, Lydia,, N26)及びBNPLの顧客(Affirm, Klarna, After Pay, Sezzle, Zip)からの売上増によるものである。特にBNPLはYoYで+300%以上伸びている(Q2ではYoYで+350%の伸び)。
  • Expense Management、暗号資産(Coinbase等)の顧客も伸びている。一方で、On-demand deliveryの顧客(Door Dash等)の売上は昨年度のCOVID環境下でピークアウトしており、減少している。
  • Marqetaにとっては、USでは政府による景気刺激策とCOVIDはプラスに作用しており、この影響は現在も続いている。
  • EuropeはMarqetaと同様のサービスしている競合はないことから、YoYで+340%の伸びとなり、顧客数も2倍になっている。それ以外のAustraliaやNew Zelandでも、事業を展開している

Revenue はTPVに比例して増加も未だに高いSquareへの依存率

売上高もYoY+56%となり、QoQでは+8%となった。

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尚、YoYの売上高増加額 $47Mのうち、$29M(62%)はSQ Squareからの売上増である。

 

売上には2つの種類があり、Platform service と other feesというものである。

このうちPlatform serviceは更にNet interchange feesとProcessing and other feesにわかれるが、Q3ではYoYでいずれも+50%以上の伸びている。

Net interchange feesはある特定のカード取引高に一定の%をかけた金額及び固定利用料が収益となるが、Tiered Pricingを採用しているため、顧客のカード取引高が多いほど、Revenue Share Paymentsとよばれる値引が入ることになり、この値引きとのNetで売上が計上されている。

また、Processing and other feesとはカードのATM利用高に応じて売上となるもの、および顧客のカード取引量が一定のThresholdに満たなかった場合に徴収される最低保証額である。

 

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上記はYoYの比較であるが、売上構成についてQoQで比較するためにQ2表を張り付けたものが下記である。

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上記より、Net interchange feesはQoQで+6%, Processing and other fees は+9%、Other serviceは+28%の伸びである。

Squareへの高い売上依存

SQ Squareの売上依存は、総売上のうちFY20 Q3 で72%, FY21 Q3では68%と減少傾向にあるものの依然として高い水準にある。なお、Q2の時も、売上依存比はそれぞれFY20Q2 72%でFY21 Q2 68%であったため、QoQで状況は変化していない。会社は新規顧客からの売上比率増に力を入れており、3Qでの既存上位5社以外からの売上はYoYで+226%となった。

粗利率はYoYで3ポイントQoQで7ポイント改善し、長期的な目標である40% -45%のレンジは継続

売上原価はCard Network fees, Issuing Bank fees とOthersからなっている。Card Network feesとIssuing Bank fees(主にSutton Bankへ)は、固定費や取引量の応じた手数料となっているが、売上と同様、売上原価も取引量が多ければおおいほど、Thresholdeを超えると取引量あたりのコストが少なくなるような取り決めとなっている。このため、四半期での原価率が年度の原価率と比較してぶれる場合がある。また、Otherの中には物理的なカードやパッケージコスト等が含まれる。

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Q3においては粗利率は45%に改善したが、ここに$4Mのカードネットワーク費のインセンティブの見直しによる影響が含まれている。このうち$2Mの改善については前四半期以前のものであり、この影響を除いた実質的な粗利率は43%となる。

4Qの売上Guidance (Midpoint)はBNPL, Digital Bankingの成長によりYoYで+55% ,QoQで+4%の成長を見込む

Q4はholiday seasonであることもあり、取引量が増えることになるため、売上は増加する。特にBNPLの領域に成長が見られることなるだろう。また、GuidanceにはHoliday Seasonに予想されるサプライチェーンのIssue (Logisticの停滞により商品が届かない等)の予想や新規採用によるコスト増の影響も加味されている。

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尚、2022年のGuidanceについて具体的な話は会社はしていない。ただし、2021年COVID及び景気刺激策があったが、2022年はこれがないので、2021年ほどの伸び率は2022年には期待できないとCFOのTripp FaixはCallで述べている。特に2022年のQ1については2021年のQ1に景気刺激策があったため、引く伸びになるであろう。